天空の祈り
~とうとき命に~ (2011)
“Prayer of the Firmament”
Ode to Precious Life
〈花を愛でる〉、〈香を聞く〉という日本の美しい言葉と心。
〈耳をすます〉というから〈音楽は心すます〉であろうか。
天から与えられた人の命に、心豊にする言葉と音が
いくつもあることの幸せを日々感じている。
心に聴こえる音を追い求めたいと道を志して、
はや数十年の歳月が過ぎ去った。
その音、その響きは何なのか・・・・・
苦悩の日々は変わらない
そして、3月11日はやってきた。
自然の脅威の前に、人はなすすべもない存在で
あることを思い知らされた。
未曾有の災害を受け、恐怖におののき、
喪失感を味わい、力を失った。
しかし、人にはその苦悩に立ち向かう生きる力を
天から与えられていた。
そんな姿を見ながら、私はただ〈祈り〉の気持ちを
捧げるしかなかった。
被災された方々のこと、現代社会の脆さ、
芸術が〈今〉何を果たせるか、
私に一体何が出来るのか、多くの思いが脳裏を交錯した。
そんな思いの中、私は再び音を求め続けることにした。
人の〈心〉に豊かで強い力を与えることが出来るのは、
文化・芸術でしかないと信じて、
いくつもの想いを積み重ねながら音を書きとめようした。
桜の便りが届きはじめたころ《天空の祈り》は完成した。
〈とうとき命に〉仲間たちと共に、この音を捧げたい。
松下 功
世界初演の映像(YouTube)
2011年7月18日
文京区民オーケストラ 第20回定期演奏会